アニメーションプロデューサーの異端児、株式会社ゴンゾ代表取締役社長の石川真一郎は、目まぐるしく移り変わる映像の世界で様々なプロジェクトの遂行に邁進する中、突然閃いた。
「21世紀におけるフロンティアとしてのシンボルを作りたい!」
一瞬辺りの空気をピリリとさせるような衝撃と共に、石川の口を突いて出たそのフレーズは、少なからず彼をとりまくスタッフに大きなインパクトを与えたのであった。

「具現化とは?いったい何を!? 」 と誰もがそう思う中で石川は、まるでずっと以前から心に決めていたかのような自信に満ちた目で静かに言った。

「ラストエグザイル」

その一言を聞いたスタッフは驚くと同時に、それが大空を舞台としたフロンティアテックアニメーションの金字塔、ラストエグザイルに登場するもう一つの命ある主人公、“ヴァンシップ”であることを確信した。石川の多くを語らない意思表示は、だからこそ周囲のスタッフにリアルにそして深く伝わったのであった。

いったいどうすればヴァンシップのリアルな動きを再現できるのだろう……と考える石川の前に、一人の人物が現れた。日本屈指のドローンメーカー、エンルートの代表、伊豆智幸との出会いである。
石川のヴァンシップに対する情熱を真正面から受け感動した伊豆は、ヴァンシップのベースにドローンを使うことによって、限りなくアニメと同じ動きを再現できることを提案。同時に、エンルートがもともと伊豆のホビーの世界に対する熱い思いから立ち上がった会社であることから、専用設計および製作をエンルートが行うことを表明。すでに高度なフライトコントローラーが実用化されているドローンの世界における最新技術を導入することによって、石川が夢をグッと現実へと引き寄せたのである。

2次元の世界でしか存在しなかったものを3次元で再現する。それは3DCADを駆使することを前提としても決して簡単なものではない。しかも、今回のプロジェクトはそのヴァンシップとドローンを融合させなければならないのである。ゴンゾのアニメーションのプロフェッショナルとエンルートのドローンデザインのプロフェッショナルが、まさに前代未聞のコラボレーションを展開し、最もリアルに表現できるサイズや、エネルギー効率のよい重量バランスなどがとことん追究された。それはまさにいばらの道と言っても過言ではないプロセスであり、理想のバランスはなかなか実現できなかったのである。

そんな状況の中、石川はヴァンシップをデザインした日本のトップデザイナー小林誠に助けを求めた。ここに3名の『究極の「リアルドローン」』制作の主要人物が揃うこととなる。そして小林がプロジェクトに強烈なカンフル剤を打ってきた。なんとドローンと融合させることを前提に、その物理的な条件をクリアするために最適化されたヴァンシップのデザインを再構築することを決意したのである。

かくして、ほぼ機体の全容が確定しようとしていたとき、スタッフはまたひとつ大きな壁にぶち当たった。それは、ドローンが抱える4個のモーターが本体フレームの上にマウントされることから、3Dで起こしたヴァンシップの存在感を少なからずスポイルしてしまうというものである。「仕方のないこと」で終わらせるのは簡単だ。しかし石川、伊豆、小林の情熱とこだわりがそれを許さなかった。

ドローンのモーターとプロペラは、機体を浮かせることはもちろん、それを自在にコントロールする上での要である。ドローンだけで考えればそれはパワーと技術の象徴なのだが、今回のプロジェクトは違う。ヴァンシップをアニメの世界と同様に動かすと同時に、その存在を可能な限り消さなければならない、つまり黒子としてその役割を全うしなければならないのである。

「どうすればヴァンシップだけを目立たせることができるのだろう」と悩むスタッフを前に、伊豆が一瞬にしてそれを解決した。それは、通常のレイアウトとは逆の位置関係、つまりフレームの下側にモーターとプロペラを装着することで、その存在感を消してしまおうというものである。一見簡単なようにも思えるモディファイだが、それを実現させるにはより繊細で高度なフライトコントローラーの存在が不可欠だ。しかしエンルートでは産業用ドローンにおいて、その技術をすでに実用化させていたのである。

加えて、またしても小林からこの上もない提案が出された。伊豆のアイデアにヴァンシップのデザインをそのプロの職人技でシンクロナイズさせていったのだ。なんと最大の制約であるプロペラを自然に融合させてしまう新たな「クラウディア機関」をデザインしたのである。加えて、フィニッシュワークとなるディテーリングをなんと小林自身が行うことを表明! 文字どおり『究極の「リアルドローン」』の誕生に向けてプロジェクトはまさに頂点を迎えたのである。

新たに命を吹き込まれたヴァンシップの雄姿を、是非会場にて目撃していただきたい。

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